
開催日時:2004年11月1日(月)10:00〜17:00
20世紀文明は「安く豊富な石油」が支えた。21世紀に入って、この石油に限りが見え始めたが、これはいわゆる枯渇論のことではない。石油生産のピークが、2010年以前にも訪れ、需要に生産が追いつかなくなる。これが「石油ピーク」ということである。しかし残念ながら「エネルギーの質」を理解しない人も多く、資源といえども新技術が、市場原理が解決すると楽観するが、最近の原油価格の高止まり、イラク戦争、イスラム原理主義の台頭など世界の緊張は、脱石油の新しい世界秩序の必然を予感させる。地球はやはり有限であった。事実、北海油田は1999年に生産のピークを迎え、その後衰退の一途を辿っている。そして様々な公的な情報に逆らうように、「石油ピーク」は顕在化し始めたようである。世界最大のサウジ、ガワール油田からの原油に水が随伴すること、湾岸5カ国にも、それほど増産余力はないことなども、非公式だが次第に知られつつある。世界最大のエネルギー消費国のアメリカでは、今天然ガスの急速な減退が大きな問題である。天然ガスも無限ではなかったのである。危機感の少ない暢気な日本だが、改めて「地球は有限」と認識し、早急に真剣に未来のエネルギー論を展開すべきである。本シンポジウムはそのためである。在来、非在来型の化石燃料、原子力、自然エネルギー、水素、燃料電池、そして地球環境問題など、有意義な「議論」が展開されることを願っている。