現在、世界の科学技術の進歩は、目を見張るものがあり、その現状を把握することは、それを専門とするものでさえ戸惑うほどであり、まして一般の人々には、極めて困難であると言わざるをえない。
いっぽう科学技術は、ゆたかで健康的な人間社会の構築と、持続可能な発展のために、極めて重要な要素の一つであるとの認識は、世界の国々が既に共有するところである。
また、科学技術は単に物質世界への貢献のみならず、芸術や文系諸学問と並んで、人類文化の両輪を担い、人類の世界観・人間観に革命的な変化をもたらしてきた側面を持っている。
このように我々の生活に大きな関わりをもつ科学技術について、国民自身がよりいっそうその素養と感性を身につけることは、強く推奨されるべきである。
それにもかかわらず、昨今の日本においては、科学離れ、理科嫌いの傾向が、強まりつつあると指摘されている。我々がこれから開催する「科学カッフェ」は、この現状を打開する一助として、専門家の話しと、それに対する一般聴衆の忌憚無い意見開陳、質問を双方向的に交し、議論をたたかわせることによって、相互の理解を深めようとするものである。
なお、この科学カフェは、単なるサークル的活動として位置付けられるべきでなく、2004年版科学技術白書でも紹介されている、英国で始まり、フランス、イタリア、米国、シンガポール、ブラジルなどの諸国で展開されつつあるCafe Scientifique 運動の考え方につながる国際的運動の一環として位置付けられるべきである。